HB21S エンジンオーバーホール シリンダーブロック編
今回はシリンダーブロックのオーバーホールです。
圧縮が低い原因を探しつつ分解していきます。
早速ですがピストンが外れています
取り外してみたところ・・・
まさかの棚落ちが発覚
これでは圧縮が無いのも納得です。
分かりにくいですがセカンドランドにも亀裂が入っています。
トラブルが起きたのは2番ピストンです。
K6Aのターボエンジンは1番と3番ピストンに挟まれた2番ピストンに熱が集中しやすく
膨張したピストンが真円を越えシリンダーに接触することでこのような症状が起きるのではないかと考えられます。三菱ランサーエボリューション等に搭載取れる4G63エンジンに多くある症状ですね。
幸いなことにシリンダー側にはトラブルが起きてなかった為シリンダブロックはそのまま再使用します。
カーボンで汚れたピストンをメタルクリーンを使い清掃します
清掃前 カーボンで真っ黒になっています。
清掃後アルミの地肌が見えるようになりました。
サイド面コンロッドも綺麗になりました。
他にも清掃する部品はどんどん煮込んでいきます。
大型の煮込めないものは漬け置きにします
向きを変えつつ片面ずつ漬けおきその後ナイロンブラシで汚れを落としていきます。
今回のシリンダーブロックオーバーホールでの交換部品は
・ピストンリング
・コンロッドメタル
・クランクシャフトメタル
・2番ピストン
シリンダーブロック自体のオーバーホールでは特に加工はせず
各部消耗品の交換がメインです。
清掃が終わったシリンダーにクランクシャフトの組付けを行います。
プラスチゲージを使いクランクシャフトのクリアランスを測定
今回はあえて広めにクリアランスを取って組み付けを行いました。
基準値よりも広くとりフリクションロスの低減を狙っています。
クランクシャフトのジャーナル部は若干ですが磨きを入れています。
毎分何千回転もするクランクシャフトのジャーナル部に磨きを入れておくことで抵抗が減りエンジンの回転が軽くなる効果が見込めます。
クランクシャフトの組みつけが終わり次はピストンの組み付けです
新品の2番ピストンです。
2種類のスタンダードサイズからサイズの小さいグレード2を選択、
シリンダ側のサイズ測定ではサイズの大きいグレード1を入れるかギリギリのラインでしたが、
サイド棚落ちが発生する可能性も考慮し、あえてグレード2を選択しました。
今回は実験的な意味合いの強い選択です。
このあとピストンの組付けを行いシリンダブロックの組み付けは完了しました。
クランクシャフトジャーナル部のクリアランスをきっちりと揃えくみ上げたことで
手で回したときに違いが分かるほど軽く回るようになりました。
次回はシリンダヘッドの組付けを予定しています。